計算物理の深化と展開


スーパーコンピュータ「京」
神戸に設置されているスーパーコンピュータ「京」。我々も「京」及びポスト「京」のプロジェクトに参加しています。
By 0-0t (0-0t) [CC BY-SA 3.0, 2.5, 2.0, 1.0 or GFDL], via Wikimedia Commons

物理学は理論と実験を両輪として研究発展してきましたが、研究を進める上で手法の発展は非常に重要です。

近年、理論的研究にコンピュータを用いることが多くなり、計算物理と呼ばれるタイプの新しい研究スタイルが発展してきています。

コンピュータが必要になる理由としては、多くの興味深い現象が多数の要素が集まった系に起こるということがあります。多数の要素からなる系は個々の要素の従う法則がわかっていても、系全体としては予想を超えた新しい現象を示します。例えば、水分子の従う単純な運動法則だけから、温度や圧力の変化に応じてアボガドロ数ほどの水分子の集合が固体・液体・気体等の質的に異なる巨視的な性質の変化を示します。このように、多体系と呼ばれる多数の要素からなる系の研究においては、要素同士が相互に影響しあうため、代数解析的な手法よりも、コンピュータを用いた数値計算的手法の方が向いている場合が多くあります。そこで、我々はコンピュータを用いて初めて明らかになる多体系の物理現象の研究に積極的に取り組んでいます。

もう一つ強調したいこととしては、計算をする手法は単に計算するためのものではないということです。うまく計算できるということは良く理解できているということと表裏一体であると思います。

計算するということは、情報を処理(圧縮、展開)することと同義です。情報の意味づけや、機械学習のような高度な情報処理とも深く関係すると思います。新しいアイデアを豊富にもつ統計物理的視点と情報論的な視点は、物理学だけでなく、情報系の今後の発展にも大いに力を発揮すると考え研究に取り組んでいます。

参考文献: 理化学研究所 計算科学研究機構 広報誌「計算科学の世界」No.11 (2015年10月22日発行)
インタビュー記事「物質の中に宇宙が見えてくる(スケールを超える臨界現象を探す)」

助教 原田 健自

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京都大学 情報学研究科 先端数理科学専攻 非線形物理学講座