共鳴的加振の下での結合球面振り子の非線形挙動と同期現象の解析

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講演題目『共鳴的加振の下での結合球面振り子の非線形挙動と同期現象の解析』
講演者:田尻 華奈(D1)
所属:京大情報
日時:平成28年10月24日(月)16時30分~18時00分
会場:京都大学吉田キャンパス 総合研究12号館003講義室(地階)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/ の54の建物

概要:
球面振り子の支点を共鳴が起こる振動数で水平方向に動かすと,その振幅が小さくても振り子の大振幅の運動が励起される.簡単なシステムだが,複雑なふるまいをするこの振り子の運動は非線形力学系の興味深い現象の1つであり,単独の球面振り子のふるまいについては多くの研究者によって理論[1]や実験[2]で調べられてきた.しかし,複数の球面振り子を結合した場合のふるまいについて調べられたものはほとんどない.
そこで,本研究ではおもりの部分を弱いバネでつないだ結合球面振り子を考え,振り子に弱い減衰力が働くという仮定の下で,支点を同時に水平方向に共鳴的加振した時のふるまいを調べた.平均化ラグランジアン法により導出した振り子の振動の複素振幅に関する非線形常微分方程式系(結合Miles方程式と呼ぶ)を数値的に解いた結果,非回転平衡点,回転平衡点,周期解,トーラス解,カオス解の5種類の解が得られた.また,振り子間の相互作用により,そのふるまいが完全に一致する完全同期状態が観測されるパラメータ領域が見られた.
本セミナーでは結合Miles方程式の導出を行い,その数値計算結果を報告する.「支点を加振する振動数」や「バネによる結合強度」,「振り子の結合方向と加振方向の成す角度」に対する振り子のふるまいの依存性を示す.また,単独系の場合と比較し,結合系特有のふるまいとして明らかになったことを報告する.

[1] J. W. Miles, Resonant motion of a spherical pendulum, Physica D, 11, 309-323 (1983).
[2] D. J. Tritton, Ordered and chaotic motion of a forced spherical pendulum, Eur. J. Phys. 7, 162-169 (1986).