不確実な事前知識と認知バイアス.アンカリング効果の数理モデル

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講演題目『不確実な事前知識と認知バイアス.アンカリング効果の数理モデル』
講演者:竹川 高志
所属:工学院大学
日時:平成29年8月24日(木)13時00分~15時00分
会場: 京都大学吉田キャンパス 総合研究12号館003講義室(地階)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/ の54の建物

概要:
価格交渉などさまざまな場面で,最初に提示された金額は大きな影響力を持ち,特に,適正な価格に関する情報が不足していれば影響力は大きくなる.このような「アンカリング効果」は与えられた情報の意味が不明な場合でも,本人も意識しないまま次の判断に影響することが知られている.
本発表では,『古代カンブリア紀の生物「オパビニア」の大きさはどのぐらいか?』というアンケートをいくつかの「事前情報=アンカー」条件のもとで行った結果を紹介し,人間が不確実なものについてどのように定量的評価を行っているのかについて、ベイズ理論に基づいた事前分布と事後分布の数理モデルによる説明を試みる.提案モデルではもともと持っていた知識と提示された情報の信頼性という観点からアンカリング効果を定量的に説明可能で,一般に不合理だと思われていた現象を学習という側面から,再解釈できるのではないかと考えている.他のいくつかの実験結果も交えて議論させていただきたい.
※ 時間が許せば NN, Bayes, QN を利用したじゃんけん AI とAI対人間の対戦履歴データに基づく行動戦略に関する研究結果についても紹介したい.