講演題目『線条体のフィードフォワード抑制の欠神発作における役割』
講演者:新垣 貴史
所属:オレゴン大学
日時:平成28年8月29日(月)16時30分~18時00分
会場:京都大学吉田キャンパス 総合研究12号館003講義室(地階)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/ の54の建物
概要:
欠神発作は短い意識の消失とそれに伴う多数の脳領域での同期的活動により特徴づけられる. 欠神発作は視床-皮質ネットワークによって形成されると考えられてきたが, 最近の実験的観測により基底核も重要な役割を持つことがわかってきた. 我々は理論的解析に基づき, 視床-皮質-基底核ネットワークが欠神発作の保持に重要な役割を持つことを主張する. そのために, 我々は生物学的詳細の異なる視床-皮質-基底核ネットワークモデルの解析的計算と数値実験を行った.
我々はこれらのモデルを用い, 異常に強力な線条体のフィードフォワード抑制が視床-皮質-基底核ネットワークの双安定性を引き起こし, それが発作として発現し得ることを示した. この双安定性は, 視床下核を通るネガティブフィードバックと線条体を通るポジティブフィードバック, さらそのポジティブフィードバックを遮断することが出来る線条体のフィードフォワード抑制により発生する.
我々の理論は基底核と欠神発作に関する実験結果と整合性がある (例: 視床下核-黒質経路の薬理的遮断が欠神発作を抑制する). さらに, 発作中に観測される線条体からの出力の低下も説明することが出来る. 我々の理論は, 適切な位相での一時的な興奮性入力により発作を止めることが出来ることを示唆する.