「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内

第75回「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内

日時:平成18年6月23日(金)15:00−17:00

場所:京都大学工学部8号館共同5講義室(吉田キャンパス)

講演者: 戸邉 勇人(京都大学大学院理学研究科/京都大学防災研究所)

講演題目: 花崗岩類における鉱物のつながり方と、斜面崩壊への影響

講演要旨:

花崗岩類には多くの岩種があり,岩種間で鉱物のつながり方が異なることがある.鉱
物のつながり方が異なる岩種間には,風化の様式に差が現れ,そのために崩壊の仕方
にも差が生じると考えられる.鉱物のつながり方は,既往研究では目視によって比較
されており,その比較結果は定性的なものであった.我々は,複雑系の考え方を応用
し,鉱物のつながり方を定量的に測定する方法を考案した.これは,一定の領域にお
いて鉱物が切れ目無くつながる割合を,領域の大きさを変えながら測定し,鉱物のつ
ながる割合と測定領域の大きさとの関係をグラフ化したものである.この方法を用
い,同様の降雨を経たにも関わらず崩壊の発生密度に差があった岩種から試料を採取
し,それぞれの鉱物のつながり方を計測,比較した.その結果,崩壊発生密度が大き
かった花崗岩では,それが小さかった花崗閃緑岩に比べ,斜長石の連続性が弱かった
ことが,目視に比べ明確に示された.