脳波データにおける振動子間ネットワークの推定

space

講演題目『脳波データにおける振動子間ネットワークの推定』
講演者:小野島 隆之(D3)
所属:京大院情報
日時:平成28年7月25日(月)16時30分~18時00分
会場:総合研究12号館 003講義室 (地階)

概要:
生物の神経活動には周期的なものが存在し、脳波として頭皮上で計測することができる。この脳波は同じ周波数、異なる周波数間で脳波の位相が同期することが確認されており、脳波の位相同期が脳の認知機能を実現する上で重要な役割をになっているのではないかと考えられている[1]。
しかし、脳波間の同期がどのような相互作用によって実現しているのか不明である。 この問題に対して、頭皮脳波を振動子とみなすことで、脳波間の相互作用の推定を試みた。実験で得られた周期的な活動を示す時系列データから、振動子としての位相を計算し、この位相データを用いて振動子間の相互作用を表わす結合関数を推定する。既存の推定手法[2][3]として同一周波数間の結合関数を推定するものがある。
しかし、脳波には同一周波数だけでなく、異なる周波数間の同期が存在する。そこで従来の手法を、異なる周波数間の結合関数が推定可能なように拡張した。この推定手法の妥当性を確認するために、電子回路実験を実施した。その後、実際の脳波データに対しても結合の推定を行い考察を行った。

[1] Fries, P., Trends. Cogn. Sci., vol. 9, 474-480 (2005)
[2] Ota, K & Aoyagi, T., Submitted. arXiv:1405.4126 [Preprint]
[3] Penny, W.D., et al., J. Neurosci. methods, vol. 183, 19-30 (2009)