情報伝達最大化原理に基づくネットワークの分化

space

講演題目『情報伝達最大化原理に基づくネットワークの分化』
講演者:山口 裕氏 福岡工業大学情報工学部
日時:2016年3月15日(火)13:00ー14:00頃まで
場所: 京都大学吉田キャンパス 工学部2号館003講義室(地下1階)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/ の54の建物

講演の概要:
本講演では脳における機能分化過程にみられるような,システム全体にかかる拘束条件のもとでシステム内部に機能モジュールが形成されていく過程を扱った数理モデル研究の結果を紹介する.
2つのサブネットワークからなる振動子ネットワークを考え, サブネットワー クのダイナミクス間に双方向に伝達される情報量を最大化させるという選択圧のもとネットワークを進化的手法により発達させた.サブネットワーク内 ,サブネットワーク間,の振動子間結合はそれぞれ独立にランダムに存在し,結合確率は遺伝子にコードされたパラメータによって決定されている.この結合確率を規 定する遺伝子を,遺伝的アルゴリズムによって進化させた.
その結果,サブネットワークが互いに異なった構造やダイナミクスを持つモジュールに分化することが確かめられた. 進化の結果得られたネットワークに おいて,モジュール内の位相コヒーレンスとモジュール間の位相差に遅い振動が みられた.講演では集団的ダイナミクスの解析結果についても紹介し,双方向情 報量最大化原理がヘテロ構造の進化と関係する可能性について議論したい.